音で発電する技術

画期的な技術を生み出すベンチャー企業といえば、
多くは米国の企業をイメージしますが、
日本にも、そんなすばらしい企業が存在します。

その企業の名前は、「音力発電」。
慶應義塾大学環境情報学部の
後期博士課程に在籍する学生、
速水浩平氏が創業したグリーンベンチャー企業です。

音力発電というのは、文字通り
音や振動から電気を生む技術です。
化石燃料等を一切使わないので、
温室効果ガスを排出しない
太陽光発電や風力発電などに並ぶ、
クリーンエネルギーといえます。

この基本原理自体は
決して目新しいものではありませんが、
今まで実用化されなかった理由は、
発電効率が極めて低かったためです。

この課題を克服すべく研究を続けた速水氏は、
「圧電素子」という水晶やチタン酸バリウムなど
外から力を加えると収縮して
電圧を発生させる素子を利用することを思いつき、
発電効率を劇的に向上させました。

さらに、圧電素子に共振膜を取り付けたり、
振り子を取り付けたりするといったアイディアで、
発電効率をより向上させることに成功したのです。

それでは、音力発電は具体的に
どんなふうに利用されるのでしょうか。

まず、小さいサイズの技術としては、
発電靴やゲーム機などに用いるリモコンへの応用が
考えられます。

発電靴は靴底に発電装置を埋め込むことで、
歩くだけでどんどん発電ができるという代物です。
音楽プレーヤーや携帯電話などの
モバイル機器の充電に使えますね。

ゲーム機のリモコンについては、
ボタン操作を行う時の振動で充電することができるので、
乾電池が必要なくなります。

もっと、大きなサイズの技術としては、
高速道路や橋の下に発電装置を設置して、
発電することが考えられます。
実際、首都高中央環状線の五色桜大橋の夜間照明は、
音力発電によって点灯しているのです。

道路だけではなく、ビル、公園、工場、車など
音と振動が発生するところならどこでも発電できます。

製造コスト、維持コストも小さいので、
費用対効果も抜群!

ところで、現在、音力発電は、
社長1人、社員1人のスモールサイズで経営されています。。
今後、市場に技術を公開すれば、発電装置を分解して、
技術をまねをされることを覚悟しなければなりません。
そこで、速水氏が考えたことは、
「3年前の技術しか世の中に出さないということ。」
技術面で圧倒的優位を保つための手段です。

さて、この小さなベンチャー企業、
世界のクリーンエネルギーの業界地図を
大きく書き換えるような巨人に育つことはできるのでしょうか。
今後の活躍が注目されます。

(2009/4/3 記)