働き過ぎ

日・米・英・独・仏の先進5カ国の
2005年時点の年間総労働時間を比較した
国際労働機関(ILO)の調査によると、
日本の労働時間の長さは突出しているようです。
日本の労働者は、ドイツやフランスに比べ、
300時間以上も長く働いています。

また、厚生労働省が発表する
「毎月勤労統計調査」によると、
日本の正社員(一般労働者)の年間労働時間は、
2000年以降、2000時間前後で
高止まりしているとのこと。

「長時間雇用者」(週に50時間以上働く雇用者)の
割合は約30%。
先進国の中でも比較的労働時間が長いとされている
アメリカの約20%をも上回っています。

さらに、25歳から49歳の働き盛りの
男性社員の約2割は週に60時間以上
働いているそうです。
これは、休日出勤せず、週5日働くと仮定すると、
平日は毎日朝9時から夜10時以降まで
働いている計算になります。

労働時間が長いということは、当然、
残業時間も長いということになります。
「エンドレス・ワーカーズ」(日本経済出版社)の著者、
小倉一哉氏の調査によると
日本の正社員の約9割は残業しているとのことです。

多くの労働者は、
労働時間の長さにストレスを感じており、
働き過ぎで疲れ果てています。
その結果、労働意欲が低下し、
生産性が上がらないという悪循環に陥っているのです。

ちなみに、世界各国で人事コンサルティングを行っている
タワーズペリンの2005年の調査によると、
「働く意欲が低い」という日本人労働者は、
全体の41%に達し、調査対象16カ国中インドに次いで、
2番目に高い数字となっています。

この背景には、
日本が「グローバル産業資本主義」の勝者を
目指してきたことと関係があるのでは
と言われています。

つまり、勝ち残るためには、
低価格で高品質の規格品を大量生産大量販売するという
ビジネスモデルを実行しなければならず、
「低価格」でも、質を落とさないためには、
人件費という主要なコストを削らなければなりません。

そのため、企業は、1900年代末から
リストラにより正社員を減らし、
非正規雇用者を増やしてきました。
正社員の数が減っても仕事の量が減るべくもなく、
正社員1人当たりの仕事量は増大し、
勤務時間が長くなるというわけです。

その上、商品のライフサイクルが異常に短くなっており、
また、消費者の商品やサービスの質に対する要求水準も
高まる一方となっています。
ますます忙しくなるのは必定ということです。

こんなに一生懸命に働いているのに、
日本の生産性はそれほど高くありません。
社会経済生産性本部の調査では、
2007年の日本の労働生産性
(社員1人当たりの付加価値創出額)は
約6万7000ドルで、
経済協力開発機構(OECD)加盟30国の中で、
20番目となっています。
また、先進主要7カ国(米・英・独・仏・伊・加・日)
の中では、14年連続最下位となっています。

ショックな話があります。
日本の1つ上の19位にスペインがいます。
スペインといえば、「シエスタ」という昼寝の習慣があり、
昼休みは2時間以上取るのが当たり前。
そのスペインにも労働生産性で負けているとは・・・。

リーマン・ショック後の金融危機で、
日本をとりまく経済環境はますます厳しくなっています。
1度、クラッシュして、世の中のしくみが
大きく変わるこの時期だからこそ、
「働くことのあり方」をよく考えてみる必要がありますね。

(2009/7/3 記)