中国が抱える3つの過剰問題

日経平均は、7月27日に10000円を回復してから、
順調に上昇しています。
3月10日の安値、7021.28円から、
本日前場の高値、10304.90円まで
47%ほど上昇していることになります。

しかし、日経平均をはるかに上回るスピードで
上昇している株価指数があります。
それは、中国の上海総合指数です。
6月24日に3372.603まで上昇し、
年初からの上昇率は約8割に達しています。

中国の株価上昇率は、BRICsの中でも突出しています。
ちなみに、中国を除くBRICs各国の
年初からの株価指数の動きを見てみると
インド・ムンバイSENSEX30は6割弱、
ブラジル・ボベスパ指数は4割強、
ロシア・RTS指数は5割の上昇となっています。
中国、恐るべし。

値上がりが目立つの素材関連株です。
中国政府の景気対策による業績アップの期待から
個人投資家を中心に買いを集めており、
中国非鉄最大手の中国アルミは
年初からの上昇率が2.7倍と
中国市場で最も値上がりした株となっています。

石炭最大手の中国神華能源も2.1倍に。
なんだか、高度経済成長時代の日本のようですね。

さらに、貸し出しの急増を受けて、
銀行株も上昇しています。
中国商工銀行は年初から49%、
中国建設銀行も60%、
それぞれ上昇しています。

株式相場の上昇で運用益の向上が期待できる
保険会社の株も値上がりしていますよ。
中国損保大手の中国太平洋保険は2.6倍、
中国生保大手の中国平安保険も2.3倍に。

はたして、これは、バブルなのかと聞かれれば、
それは、おそらくバブルなのでしょう。

なぜか?
それは、中国が現在、抱えている
「3つの過剰問題」をみればわかります。

3つの過剰とは、

1.マネーの過剰
2.設備の過剰
3.雇用の過剰

です。

中国政府は、巨額の景気刺激策を打ち、
内需は確実に、上向いてきています。
銀行融資についても「異常」ともいうべき
ペースで増加し続けています。
さらに、中国人民銀行(中央銀行)は、
元相場を実勢より低く抑えるため、
市場で大規模な元売り・ドル買い介入を実施し、
元を大量に市場に放出続けています。
これでは、市場が元でジャブジャブになってしまいます。
これが、「マネーの過剰問題」です。

次に、「設備の過剰問題」についてですが、
景気刺激策に対応して、
国有企業は大型の設備投資を実施しています。
その結果、需要をはるかに上回る設備を抱えるはめになり、
特に、造船やセメント、鉄鋼などの
重厚長大産業では、
「過剰設備問題」が深刻化しています。

実際、造船業界は、過去最悪の状態にあり、
1〜5月の新規受注量は前年比96%減となっています。
セメントについても、
来年以降は価格が暴落するとの見方があり、
今後の動きが気になるところです。

そして、最後に「雇用の過剰問題」についてですが、

中国人事社会保障省によると、
昨年末の都市部の登録失業者数は886万人に上り、
失業率は4.2%と5年ぶりに上昇しています。
中国の失業率は確実に上昇しているのです。

しかし、この失業率は
中国の労働者の実態を正確に映しているとはいえません。
なぜなら、この数値には
中国経済を底辺で支える農民工が
含まれていないからです。

金融危機は輸出向け工場の労働現場を直撃し、
農民工は、相次ぐ工場閉鎖で
次々に職を失っているのです。
この農民工を計算に含めれば、
失業率は9.4%にまで膨らむと言われています。

中国がアメリカに代わって、
世界のけん引役になる可能性が
非常に高いことは否定しませんが、
その地位を確実なものとするまでには、
まだまだ、多くの波風がありそうです。

(2009/7/31 記)