自民惨敗

いやいや、昨日の選挙の結果は壮絶でしたね。
民主党優位とは伝え聞いていましたが、
単独過半数241議席を大きく上回る
308議席を獲得するとは・・・。

一方、自民党の獲得議席数は119。
公明党と合わせても140議席しか
獲得できませんでした。

報道によると、自民党は茫然自失状態だとか。
ここまでの惨敗を予想していなかったようです。
首相経験者、幹事長経験者、各派領袖らの
大物議員が次々に落選するとは、
国民がどれほど、自民党政治に愛想をつかしていたのかが
うかがい知れます。

自民党は4年前の郵政選挙で圧勝しましたが、
当の立役者である小泉元首相は、
党則を理由に1年で退任し、
続く安倍晋三、福田康夫両首相ともに
1年で政権を投げ出しました。

さらには、小泉元首相が小さな政府を志向したため、
伝統的な地方の支持基盤である
財界、建設業界、農業などの支持層を失い
都市部ばかりでなく全国的に
自民党離れが生じました。

こうして考えてみると、
自民党は一夜にして凋落したわけではなく、
長い年月をかけて、崩壊したことがよくわかります。

ところで、民主党が政権をとることで、
いったい何が変わるのでしょうか。

一番大きな変化は、政府と国民の間に存在する
“夾雑物”の撤去ということになるのでしょうか。

「夾雑物とは何か」を説明するためには、
現在の社会が4層構造になっていることを
知る必要があります。
その4層構造は以下の通りです。

1.政府
2.各種業界団体
3.企業
4.国民(個人)

各種業界団体とは、企業や団体、あるいは医師や弁護士など、
特定の業務に携わる個人を会員として構成される
非営利団体のことです。
業界の利益を守るための圧力団体の一形態であることが
ほとんどです。

中でも、業界を横断した連合会のような団体の典型的な例が、
日本経済団体連合(経団連)です。

経団連は、1955年の保守合同以来、
「自由主義経済を守る」との大義名分の下、
旧社会党に対峙する自民党を支援し続けてきました。
財界の総本山を率いる経団連会長は、“財界総理”などとも
呼ばれています。

さて、話を夾雑物に戻しますが、ずばり、
2と3が民主党の考える夾雑物です。

自民党政権における補助金、交付金などのお金の流れは、
以下のようになっています。

《租税特別措置・補助金》 
  政府 → 大企業・業界団体 → 働き手

《交付金・補助金》   
  政府 →  自治体 → 住民

《補助金》
  政府 → 農協 → 農家

租税特別措置というのは、
個人や特定業界に対する時限の税制措置のことです。
多くの場合は減税措置で、期限が2年ほどのものが
多くなっています。
身近なものでは、住宅ローン減税もその1つですね。

実は、この実質的な補助金である
租税特別措置には問題点が多く、
企業がどの分野でどの程度、
租特の恩恵を受けているかが不明確であり、
透明化する必要があるといわれてきました。

1例をあげてみましょう。
2008年度、政府は法人税関連の租特によって
1兆3690億円分の減税という
恩恵を企業に与える見通しですが、
このうちおよそ半分が
「研究開発促進税制」となっています。
2007年度の実績を見れば、
実にその減税分の97.3%を大企業が
占めているそうです。

これは、経団連が所管官庁や
自民党の政治家に働きかけをして
創設、延長がなされてきたという事情があるそうです。

実際に研究開発投資にお金が回れば
まだよいのですが、
具体的な効果がみられないという
調査結果があります。

個別企業がどれだけ減税の恩恵を受けているのか
財務省や国税庁に問い合わせをしても、
データはないとの返答しか得られないとのことです。
これは、中小企業側から見れば、
大変、不公平ということになります。

そこで、民主党は企業向け租特を削減し、
余計なコストを省こうと考えているのです。

民主党の「中抜き社会」の狙いはもう1つあります。
政・財・官の“鉄のトライアングル”を壊すことです。

先ほどご説明した租特の要望は、
企業や業界団体が所管官庁に打診し、
その意見を政治が
すくいあげるという図式で成り立っています。
そして、租特として取り上げられる優先順位は
政党への寄付額の多寡で決められるようです。

このような、お金のからむボトムアップ型の政策決定では、
政・財・官の馴れ合いを打破することはできません。

そこで、民主党が考えている政策決定の過程は、
トップダウン方式です。

政策決定プロセスを透明化するために、
議論をすべてオープンにして、
今では、党内で自由にできた水面下での交渉や差配
といった行為を出来なくするということを考えています。

つまり、政策決定の主導権を
官僚から政治が奪い返すというわけです。
そして、重要な政策は閣僚が中心となって決め、
それを官僚に下ろすという構図を実現しようとしているのです。

その結果、官僚は決まった政策を進めることに専念し、
政治的な調整は全て政治家が担うというように
役割分担を明確にすることができるというわけです。
「霞ヶ関の中抜き」を実行するといったところでしょうか。

新政権に対する不安は多々ありますが、
民主党が目指す
官僚主導の政治からの脱却、
政・財・官の癒着に伴う金権政治からの脱却を
ぜひ、実現させてもらいたいものです。

(2009/8/31 記)